古一の瀬焼

一の瀬焼の歴史

一の瀬焼の発祥は400年前に遡り、秀吉の朝鮮出兵に従軍した筑後国生葉郡(うきは市の大部分と八女市の一部)領主の問註所氏が連れ帰った朝鮮人陶工らによって開窯したなど諸説ありますが、詳細は不明です。

歴史の一端が垣間見えるのが、「古一の瀬焼」と呼ばれる江戸時代に焼かれた一の瀬焼です。
現在の一の瀬焼きは陶器が中心ですが、現存する古一の瀬焼の中には白地にコバルトブルーの紋様が鮮やかな作品が多く、当時は磁器が盛んに手がけられていたことを示しています。


初代窯元・丸田泰義

一の瀬焼の復興 最初の独立窯として

近世では、久留米有馬藩の御用窯として栄えた一の瀬焼。しかし、江戸期に隆盛を繰り返し、明治時代に閉窯します。

昭和に入り、一の瀬焼の再興を図ろうと浮羽町(現うきは市)は九州各地から陶芸家の誘致を行います。当時、佐賀県武雄市で黒牟田焼に携わっていた丸田泰義(丸田窯・初代窯元)も、展示会で作品を見た当時の浮羽町長からの説得で、一の瀬地区へ移りました。

こうして各地の陶工が集まり、浮羽町の主導で会社組織の工房が設立され1959年に一の瀬焼は復活します。
そしてその2年後、丸田泰義が独立して『一の瀬焼 丸田窯』を創業。現在ある窯元郡の中で、最初の独立窯になりました。

丸田泰義は陶芸の一方で、町の観光振興にも取り組みます。観光協会会長を務めるなど、町の発展に尽力しました。


『塩釉』を受け継ぎ50年

世界的にも珍しい数々の塩釉陶器

一の瀬焼 丸田窯では、世界的にも珍しい塩釉陶器を制作しています。

塩釉は中世のドイツが発祥の施釉技法で、日本には昭和初期にその技術が伝わりました。

弊窯ではこの技術を受け継ぎ、50余年、塩釉技法の研さんを続けています。

塩釉は塩を用いて施釉を行う技術で、塩釉陶器は高温焼成中の窯へ数回にわたり食塩を投入して作られます。

窯の内部では、高温で蒸気化した食塩が作品素地に含まれる物質と化学反応し、特有の釉調が生み出されます。
素地に鉄やマンガン等を施し、さまざまな色出しを行うことも可能で、弊窯では独自の釉調を追求しています。


二代目窯元・丸田巧

二代目窯元・丸田巧 ご挨拶

日本各地の民芸陶器は、人々から愛され、はぐくまれて、その伝統を守り抜いてきました。一の瀬焼もそのひとつです。
うきは市の一の瀬地区では、慶長の頃より400年もの間、李朝窯の作調紋様の日本化を表現した作陶が続けられていました。

現在の丸田窯は、初代窯元・丸田泰義が宗伝の技法ゆかりの地に築窯し、古唐津の特色を活かした伝統的な民陶の生産を復興させたものです。

丸田窯作品の特長は、素朴で親しみやすい形状と『塩釉』を使った独特の釉調です。
塩釉とは、釉薬の代わりに塩を使って施釉を行う技法で、弊窯では半世紀以上、この塩釉技法に研さんを重ね、新たな創作活動にも取り組んでまいりました。

塩釉作品は素焼きの作品を窯に積み、焼成中に窯の外部より数回にわたり塩を投入して作られます。窯の内部では高温で塩分が化学反応してケイ酸となり、これが焼成中の作品の表面に施され「一種のガラス状の釉」となります。こうして、塩釉が持つ特有の美しい艶が生まれます。また、素地に鉄やマンガン等を施し、さまざまな色出しを行うこともできます。

近年では、独自に考案した焼きしめシリーズなどにも取り組み、伝統の技法を守りながら消費者のアイデアを取り入れた新しいデザインに挑戦しています。


丸田巧 陶歴

丸田巧 陶歴

1956  丸田泰義の長男として生まれる
1977  第三十三回福岡県展初出品(豊田賞)受賞
1978  九州産業大学 芸術学部卒業
1981  地下式瓢箪穴窯築窯
1982  第一回西日本陶芸美術展入選以後連続
     第十回中日国際陶芸展 入選
1983  第三回西日本陶芸美術展(福岡県知事賞)受賞
     第二回九州現代工芸展(福岡県知事賞)受賞
1984  第二十三回日本現代工芸展入選以後四回連続後退会
1986  第六回西日本陶芸美術展(大分県知事賞)受賞
     第五回九州現代工芸展(福岡県教育委員会賞)受賞
1987  第七回西日本陶芸美術展(鹿児島県知事賞)受賞
     第六回九州現代工芸展(福岡県知事賞)受賞
     第四十三回福岡県展(福岡県知事賞)受賞
1988  第四十四回福岡県展(甘木市長賞)受賞
1989  第九回西日本陶芸美術展(大分県知事賞)受賞
     福岡県展会員展出品
1991  焼き締め陶公募展 入選
     国際デザイン展 装飾照明「層」1134点中39点内エントリー
1992  日本伝統工芸展 入選
     新福岡NHK放送センター2階ロビー陶壁制作「翔」
     福岡県展会員展(奨励賞)受賞
1993  NHK LKホールにて陶壁画完成記念個展
1994  第二回現代陶芸 [めん鉢] 大賞展(審査員奨励賞)受賞
     第十四回西日本陶芸美術展(文部大臣賞)優秀賞 受賞
     第一回サッポロビールジョッキコンテスト(RKB毎日放送賞)受賞
1995  福岡県庁跡地 [アクロス福岡] B2Fロビー陶壁画制作「誕生」
     福岡市美術展 [招待出品](福岡市長賞)受賞
     NHK LKホールにて四人展 [汲古会] 開催
1996  世界・炎の博覧会 日韓野外陶芸展出品「赤と青の扉」
     札幌芸術の森 クラフト全国公募展 入選
1997  第十七回西日本陶芸美術展 (大分県知事賞)受賞
     福岡天神岩田屋美術画廊にて個展
1998  第九十五回九州山口陶磁展(毎日新聞社賞)受賞
1999  第十九回西日本陶芸美術展(鹿児島県知事賞)受賞
     朝日クラフト展 入選
2000  第二十回西日本陶芸美術展琉球新報社賞
2001  第二十一回西日本陶芸美術展(文部科学大臣賞)優秀賞受賞
2002  フランス・マルセイユ2002年日本週間出品
     第二十二回西日本陶芸美術展 陶芸大賞受賞
2003  日本陶芸展入選
     日本工芸会正会員推挙
     福岡県展会員奨励賞
2005  日本陶芸展入選
     メッセ・ベルリン出品及びロクロ実演
2007  日本陶芸展入選
     福岡県展会員特別賞受賞(二十周年記念展)
     神戸ビエンナーレ展入選
     福岡県展会員奨励賞
2008  究真館高校ロビー陶壁画制作
2011  福岡県陶会員豊田賞
2015  九州山口陶磁器展 読売新聞社賞
     浄光苑 陶壁画制作
2017  有田国際陶磁器展 熊本放送賞
2019  福岡県展会員 奨励賞
2022  有田国際陶磁器展 朝日新聞社賞
2023  九州芸文館トリエンナーレ2022 準大賞
2024  有田国際陶磁器展 有田町長賞 第三位
2024年 有田町長賞

現在  福岡県美術協会会員
    福岡県陶芸協会会員
    日本工芸会正会員


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